バイナリーオプションで利益が出た場合、税金の支払い方法に首をかしげる投資家も少なくありませんよね。
「稼げてからでいいや!」と後回しにしていたものの、利益が上がったあとに税金の納め方が分からないと右往左往してしまう人も多くいるはずです。FXや株式取引などの投資の中でもバイナリーオプションでの税金の納め方は少し違っていますので、今回はバイナリーオプションの税金の説明を徹底的に解説していきたいと思います。
目次
バイナリーオプションでの税金を考える際に最初に理解しておく必要なことがあります。
それは、国内バイナリーオプションの会社と海外バイナリーオプションの会社では、利益が出た時に支払う税金の考え方や税率、計算方法が違うということです。
なぜ国内業者と海外業者で違いがあるのか?
以前は同じだったのですが、2011年度税制改正修正法というものが可決された結果、2012年から国内のバイナリーオプションに関する税率がFXや株などの投資と同じように低くなり優遇されるようになりました。
政府がいうには、「国民のの投資を活性化させたい」と意向を表明していますが、海外にお金を流したくないという考えと、企業に投資する株や国債などに国民の資産を少しでも投資させ国の経済を底上げさせようとする思惑があるようにも思えます。
NISAなどの税制優遇も含め、資産運用の選択肢を広げる目的で国内の証券会社で利益を出した場合には税率が低くなるようになったわけですが、国内のバイナリーオプションの業者を使う場合、1日に取引できる回数が決まっているなど制限かなりあるので、税金対策として国内のバイナリー業者を使うのも毎月上げる利益に影響してくる可能性が高くなるので注意が必要です。
2011年までは国内業者と海外業者は2つとも総合課税に分類されていましたが、2012年になってからは国内のバイナリーオプション業者は申告分離課税。
そして、海外のバイナリーオプション業者は総合課税というふうに変更されています。
国内のバイナリーオプション業者を利用して利益を上げた場合、2012年から他の投資と同じように税金の考え方が申告分離課税というものに変わりました。
ずっとバイナリーオプションで稼いでいくと考えると、国内の証券会社を使っている限りはこの申告分離課税というものになりますので、しっかりと理解しておきましょう。
申告分離課税とは、簡単に言えば「他の所得と分離して税額を計算する課税方法」のことです。
つまり、あなたがサラリーマンとして得た給料や不動産投資の賃料収入などで得た利益とは分離して計算する必要があるんです。申告分離課税という言葉通り、今あなたが得ている収入全てとバイナリーオプションで出た利益は別の利益と考え、計算していくとわけですね。
税率や税金と聞けば難しく考えてしまう人もいますが、知っているか知らないかの差で難しくはありませんので安心してください。
国内のバイナリーオプション業者で利益が出た場合
所得税:15%
住民税:5%
復興特別所得税:0.315%(平成39年末まで)
上記の3つをあわせて20.315%の税金が、あなたが国内のバイナリーオプション業者であげた利益から引かれるというわけです。
税金の計算方法についても難しくなく、課税所得がいわゆるあなたが国内の証券会社を使ってバイナリーオプションであげた利益になりますので、
課税所得 = 国内業者で出した利益 − 国内の業者を利用する際に利用した経費
税額 = 課税所得 × 20.315%
国内のバイナリーオプション業者を利用して利益が出た際には申告分離課税になるわけですが、申告分離課税の場合は多いか少ないかに関係なく一律でこの税率が適用されます。
サラリーマンが100万円の利益を出した場合
バイナリーオプションを勉強するために購入した参考書→3万円
バイナリーオプションや為替相場などのセミナー参加費用→5万円
バイナリーオプションをするために購入したタブレットやパソコン費用→17万円
利益:100万円 ー 経費25万円 = 課税所得 :75万円
75万円 × 20.315% = 15万2,360円
上記のような利益をサラリーマンが国内の証券会社を使って出した際には、バイナリーオプションで利益を出すために使ったパソコンやネット代、参考書などの経費を引いた残りの総額の20.315%が支払う必要がある税額になります。難しく考えてしまう人も多くいますが、国内の業者に関しては20.315%という数字さえ知っていれば簡単に計算することが可能です。
50万円の場合(経費なし)→50万×20.315%=税額:10万1,575円
100万円の場合(経費なし)100万円×20.315%=税額:20万3,150円
国内のバイナリーオプションで取引した場合には、『政府が優遇するよ!』いった意向を示したことをお伝えシたと思いますが、申告分離課税という税金の優遇処置意外にも優遇処置は存在しています。
それは、3年間の損失繰越が出来るということです。
国内のバイナリーオプション業者を利用している場合、3年間で損失を出ていればその分の損失額を稼いだ総額から引いた20.315%が支払いべき税金になります。
損失を今まで出したことがなく、ガッツリと稼いだという人の方が少ないと思いますので、仮に10万円損失を出しているのであれば、稼いだ額から10万円を引いた残りの額の20.315%になることになります。
例:1年目「20万円の損失」 + 2年目「±0円」 + 3年目「100万円の利益」
例えばですが上記のように3年間にわたって合計20万の損失が出てしまった場合には、損失の繰越がなければ
損失繰越がない場合
1年目の損失20万円 → 税金:0円
2年目の利益±0円 → 税金:0円
3年目の利益100万円 → 税金:16万2,520円
というように3年間で出た合計の損益を稼いだ総額から引いて計算します。
しかし、損失繰越がある場合だと
損失繰越がある場合
1年目の損失20万円 → 税金:0円
2年目の利益±0円 → 税金:0円
3年目の利益100万円 → (2年前の−20万円を100万からひき80万円)税金:16万2,520円
となります。
また、この80万円からさらに経費などで引けば、より税金を抑えることができます。
仮に損失額が稼いだ金額より上回っているような状況であれば、支払う税金は0円になるわけですが、最大でも3年にまでの繰り越しですので、忘れずに注意しておいてください。
そして損失の繰り越しを利用する場合には、必ず確定申告が必要になります。
国内のバイナリーオプション業者を利用した場合、例えば他の投資も行っていたとするとその金融商品との損益通算も可能です。
他の金融商品でいうのであれば、
上記のような投資先との損益通算が可能で、国内のバイナリー業者で50万の利益でFXで50万円の損失を出していた場合は、損益通算で±0円になりますので支払うべき税金はなくなりますというわけです。
ただ、注意しておくべき点として、海外のバイナリーオプション業者を利用した利益を上げた場合、損益通算はできないので注意しておきましょう。
損益通算不可の例
例①
海外バイナリー業者→50万円の利益
国内FX業者→50万円の損失
例②
国内バイナリー業者→50万の利益
海外FX業者→50万円の損失
上記のような場合には、前途で説明した税金の分類が異なりますので、損益通算は不可能になります。
国内の証券会社でバイナリーオプションを行ない、利益を出すことに成功した場合の税金の支払い方法は、確定申告になります。
確定申告とは、あなたの1年間(1月1日〜12月31日)の所得(利益)を申告して、納税をする手続きのことです。
給与所得だけの方については、会社の方が代わりに「源泉徴収+年末調整」で申告をしてくれるわけですから、確定申告は不要になりますが、給与所得以外に所得がある今回のようなバイナリーオプションで利益を出した場合には、その他の所得になり、確定申告が必要になってきます。
ちなみに、確定申告が必要になる該当条件は
上記の4つのうちいずれかに該当する人は、確定申告が必要になります。
海外のバイナリーオプション業者を使って利益をあげると国内と違い総合課税という分類になります。
国内の証券会社を使うよりも一定以上の金額を稼ぐと税率も高くなりますし、損失繰越もできないので海外バイナリーオプションの方が税金の面でいうのであれば不利になります。
しかし、驚くことに税率の面では有利にも関わらず、バイナリーオプションで利益を上げているトレーダーの9割が海外のバイナリーオプション業者を利用しています。
多くの投資家がバイナリーオプションで取引を行う場合ハイローオーストラリアなどの海外の業者利用しています。
その理由は、国内のバイナリーオプション業者の場合に限り1日に取引できる回数が決まっているなどの規制があり、勝率が高くとも勝てるエントリーポイントで取引できないという事態が発生する可能性があるためです。
バイナリーオプションは少ない資金で短時間に大きな金額を稼ぐことができますが、賭博性が高いという判断から1日に取引できる回数や5分取引・10分取引が全面利用できなくなっています。
「金融商品ではなくギャンブルでは?」
という声が集まったため禁止に至りましたが、こと投資に関して言えば、トレーダーとして必要な投資の本質を知っていなければ短期的思考で考えてしまうため、そういったギャンブルにしてしまっている投資家や初心者からみれば他の投資をやっても変わらないようにも思えます。
※規制が入った現在では、2時間以上の取引と定められています。
海外のバイナリーオプション業者(ハイローオーストラリアやオプションビットなど)を利用して利益を出すと総合課税に分類されるわけですが、そもそも総合課税を知らない人も多いと思います。
総合課税は、申告分離課税に比べると手間がかかります。
総合課税とは簡単にいえば、他の所得(会社から貰っている給与や)金額を合計して税額を計算する方法になります。
この時点で分かるかと思いますが、総合課税は他の所得と合計するぶん、申告分離課税よりも大きな税率になり、計算方法もややこしくなります。
合計して考える必要対象となる所得の種類に関しては、
上記8つの所得になります。
海外のバイナリーオプション業者で出した利益に「雑所得」に分類されますが、国内のバイナリーオプション業者で利益を上げた場合には申告分離課税ですので上記には含まれません。
しかし、海外のバイナリーオプションで出した利益は雑所得扱いになりますので、総合課税で計算する必要がありますよね。
そうすると….
利子所得 + 配当所得 + 不動産所得 + 事業所得 + 給与所得 + 譲渡所得 + 一時所得 + 雑所得 × 税率
というふうに8つ全てで計算することになります。
給与所得も総合課税に入りますので、海外のバイナリーオプション業者で稼ぐことができた所得は、給与所得と同じような扱いになります。すると稼いだ資産は給与所得と同じ計算方法で税金が決まってきますので、本職などのしごとで稼いだ金額も上乗せされて税金を払う必要が出てくるというわけです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除金 |
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円以上〜330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円以上〜695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円以上〜900万以下 | 23% | 636,000円 |
900万円以上〜1800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1800万円以上〜4000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4000万円超 | 45% | 4796,000円 |
所得税額 × 2.1%
市区町村民税 | 課税される所得金額×6% | 均等割(自治体により変化) |
都道府県税 | 課税される所得金額×4% | 均等割(自治体により変化) |
あなたの年間収入 ー 経費 = 給与所得
所得控除額の計算の場合、「給与所得」「基礎控除」「配偶者控除」「扶養控除」「社会保険料控除」「生命保険控除」「住宅ローン控除」などの各種類の控除額を計算することになります。
給与等の収入金額(源泉徴収票記載記載金額) | 給与所得控除金額 |
1,800,000円以下 | 収入金額×40%650,000円に満たない場合は650,000 |
1,800,000円超〜3,600,000円以下 | 収入金額×30%+180,000円 |
3,600,000円超〜6,600,000円以下 | 収入金額×20%+540,000円 |
6,600,000円超〜10,000,000円以下 | 収入金額×10%+1,200,000円 |
10,000,000円超〜12,000,000円以下 | 収入金額×5%+1,700,000円 |
12,000,000円超〜 | 2,300,000(上限) |
課税所得=給与所得 ー 控除額の合計
課税所得が200万円以下の場合
①所得税との人的控除額の差の合計
②課税される金額
①と②のいずれか小さい方 × 5% = 調整控除額
課税所得が200万円超の場合
①所得税と人的控除額の差の合計
②課税される金額 − 200万円
(① − ②) × 5% = 調整控除額 (2,500円未満になる場合は2,500円です)
所得税=課税される所得金額 × 税率 ー 控除額
復興特別所得税=所得税 × 2.1
住民税=課税される所得金額 × 10% +均等割(自治体により変化) ー 調整控除額
税額合計 = 所得税 + 復興特別所得税 + 住民税
というようになります。
ここで参考例を見てみましょう。
計算の参考例
給与所得:400万円
海外バイナリーオプション所得:100万円(利益-経費)の場合
給与所得:400万円
給与所得控除:138万円海外バイナリーオプション所得:100万円
その他の控除額の計算
社会保険料等 = 280,000円
生命保険料控除 = 40,000円
扶養控除 = 380,000円(一般扶養親族のうち年齢16歳以上の者1人につき38万円)
基礎控除 = 380,000円控除額合計 = 1,080,000円
課税所得 = 400万円(給与) + 100万円(海外バイナリー) - 138万円(給与控除) - 108万円(その他控除) = 254万円
所得税
254万円 × 税率:10% - 控除額:9万7500円 = 所得税:15万6500円
復興特別所得税
所得税:15万6500円 × 2.1% = 復興特別所得税:3,286円
住民税
住民税の場合は、所得税と控除額が違うの計算を再度行う必要があります。
香魚額を見直す理由は所得税と住民税では控除額が異なると理由からになります。
控除額
社会保険料等 = 280,000円
生命保険料控除 = 25,000円
扶養控除 = 330,000円(一般扶養親族のうち年齢16歳以上の者1人につき33万円)
基礎控除 = 330,000円控除額合計 = 965,000円
265.5万円 × 税率:10% + 均等割り:4,000円 - 調整控除額:2500円 = 住民税:267,000円
国内バイナリーオプションの業者を利用した場合は、税金優遇制度が存在していました。
しかし、海外のバイナリーオプション業者を利用する場合は税金優遇制度はありませんので、損失繰り越しと損益通算を使うことはできません。
海外のバイナリーオプション業者を使用した場合の税金の支払い方法は確定申告になります。
これは国内の証券会社を利用した場合と変わりません。
給与所得以外にバイナリーオプションやその他の所得がある場合でしたら以下の条件に当てはまる人であれば、確定申告が必要になります。
上記4つのうちいずれかに当てはまる人には確定申告が必要になりますので、忘れにきちんと確定申告をだしましょう。
ここまでに国内業者と海外業者での税金の関してお伝えしてきましたが、最終的な税金面で有利なのはどちらでしょうか。
これは、実際に利益をあげた額に左右されます。
国内バイナリーオプションの方が税金面では損失繰越や損益通算があるため有利になっていますが、バイナリーオプションで稼げる額をあまり多くない場合には、海外のバイナリーオプション業者で利益を上げたほうが20%を下回り、かつ控除も使うことができるので、一律20%の国内バイナリーオプション業者と比較すると有利になります。
税率は条件により変化してしまうため、どちらがいいとハッキリいうことはできませんが、給与・バイナリーオプション・不動産利益などのその他の所得から計算される課税所得が695万円以下の場合、海外バイナリーオプションの税金の方が安くなる可能性が高くなるということです。
しかし、逆に695万円を越える場合には、国内バイナリーオプションの税金方が安くなる可能性が高いため、今の自分のトレード成績や勝率、利益から判断していきましょう。
国内と海外の2つとも口座を作成しておくのもいいですが、国内は取引時間や回数に規制があるため、その点も吟味して考えるようにしてください。
最も適切な分別をするのであれば、税理士に相談するのが正解ですが、バイナリーオプションで稼ぐために使った費用は概ね経費として認められます。
例
などの上記など経費で落ちるものは様々ですが、中には「これが経費で落ちるのにこっちは落ちないと!?」というものもあります。ですので、バイナリーオプションで利益が出てきたのであれば、税理士で相談するが最も税金対策できる方法の一部にはなります。
しかし、税理士によってはどこまでが経費の範囲になるのか判断が異なるので、税額が大きくなる場合に必ず相談することをおすすめします。同時に経費に計上する経費の領収書は確定申告の際には提出する必要があるため、保管しておく必要があるので注意しておきましょう。支払いをクレジットカード等の購入履歴が残るものであればかなり楽になります。
国内のバイナリーオプション業者を利用した場合、申告分離税→一律20.315%
の税金が発生しますが、3年間の損失繰越と他の金融商品との損失通算という国内優遇制度を利用する事が可能。
海外のバイナリーオプション業者を利用した場合、総合課税→給与所得などと合算して0%〜55%の税金が発生。
国内優遇制度が使えないため、課税所得が多ければ多いほど国内バイナリーオプション業者の方が有利になり、課税所得が少なければ少ないほど、海外バイナリーオプション業者の方が税金が安く済みます。
もし、バイナリーオプションで利益が出ずに税金のことを考える必要がない段階であるのであれば、しっかりとこれから利益をあげていけるようにしていきましょう。
また、初心者の人ほど「インジケーター」などのテクニカル指標を気にしすぎてしまう傾向があり、気にしすぎるあまり損益ばかり出るなんてことも多くあります。
上記の動画は為替の基礎であるローソク足や移動平均線、ボリンジャーバンドなどを基本から応用まで学び、実際に相場で使えるようになるために説明・解説したものですので、ぜひ見てみてください。
基本は大切のですし、稼ぐ事ばかり考えていても実際に取引で焦りや欲が前にでてしまうことになりかねませんからね。
投資という世界にバイナリーオプションから入るという人も多いですが、同時に同じ為替相場ということでFXからバイナリーオプションから入る人も多くいます。
バイナリーオプションの魅力は少額から始められ、少ない資金量でも爆破的に増える瞬発力のある投資です。
しかし、投資の心構えがなっていない人や知識のない人からするとすぐにメンタルを崩しやすく、感情的になってしまうので損失を出してしまう人も少ないありません。どれだけ勝率の高い手法ややり方があったとしても、その武器を使う投資家次第というのを忘れずに意識してください。
またバイナリーオプションはその瞬発力の高さから大きな資金を短時間に作り出すことができるので、その資金をFXなどの中長期運用に回し安定した利益を毎月出せるようにしましょう。
バイナリーオプションで取引を行う場合、海外の業者を使わなければバイナリーオプションのメリットともいえる短時間に大きな利益を出すことが難しくなってしまいますので、ほとんどの人が海外の業者を使うことになると思います。
しかし、税率などいうとFXは20.315%になりますので、投資で利益を上げた場合に残る金額は圧倒的にFXの方が多くなります。また、バイナリーオプションはずっとチャートを見ていなければいけないのに対し、FXのデイトレやスイングトレードであれば、1日にチャートを見る時間も少なく、少しずつ安定した利益を出すことができるようになります。
バイナリーオプションは短期であり、今後のことを考えていくのであれば、バイナリーオプションであげることができた利益をFXで運用していき、それこそ何もしなくても利益が得られる不労所得を手に入れられるようにしましょう。